今後海外赴任をする予定ある方の場合、NISA口座を開設するにあたって取りうる選択肢は松井証券か野村證券しかありません。
- 制度が変わって、保有できるようになったって聞いたけど?
- 楽天とかSBIならNISA口座保有できるって書いてあるけど?
結論から言うと、ほとんどすべての場合においてNISA口座解約になります。
私は海外赴任を5年経験し、帰任後、いずれまた赴任の可能性が多分にある身として、証券会社の検討を重ねました(検討が遅かったのは後述。。。)その結果、松井証券か野村證券しかありえないという結論に至りましたので、その理由を書きたいと思います。
なお本記事は(ほぼすべての方が当てはまるとは思いますが、)つみたて投資枠、または成長投資枠を利用し、投資信託を保有する予定のある方を対象とします。
海外赴任の場合、ほぼすべての証券会社でつみたてNISA対象銘柄の継続保有は不可
あくまで制度上、NISA口座の資産は最長5年まで海外赴任していても保有できることとなっています。問題は、この制度に対応している証券会社があまりにも少ないということです。例えば楽天証券は、以下のように記載があります。
継続利用できる口座 総合口座、特定口座、非課税口座(NISA)非課税口座(NISA)は、出国理由が海外転勤によるもの、または、海外転勤される方に帯同する配偶者である場合に限ります。継続管理勘定(2023年までのジュニアNISA口座)はご利用いただけません。 保有できる商品 国内株式(ETF・REIT等を除く)、および個人向け国債 利用可能な操作 ログイン(評価額や過去履歴の確認等)
出金(登録された出金先金融機関への円貨出金のみ可能)利用可能な取引 ございません。すべての取引を制限いたします。 楽天証券公式HP「海外出国のお手続き」より引用
一見、NISA口座を継続保有できるようにも見えますが、大きな落とし穴があります。保有できる資産が「国内株式および個人向け国債に限られる」ということです。つまり、
- NISA口座の継続あhNISA口座で保有できる資産は日本株式と個人向け国債のみ
- NISA口座で投資信託を買っている場合は、投資信託を売却するか一般口座へ払い出しが必要
ということです。NISA口座ではインデックス投資信託を保有する方がほとんどでしょうから、楽天証券のルールは意味のないものになっています。制度があるのに、本当に銘柄保有できないの?と私も思いました。
なので、電話して確認しました。回答はやはり「投信は保有できない」でした。困ったことに、他の有名証券会社も同様かそれ未満の対応となっています。調べた結果、以下が一覧です。
証券会社 | NISA口座 | 継続保有できる資産 |
---|---|---|
楽天証券 | 継続できる | 日本株、日本国債 |
SBI証券 | 継続できない | なし |
マネックス証券 | 継続できない | なし |
auカブコム証券 | 継続できない | なし |
ソニー銀行 | 継続できない | なし |
イオン銀行 | 継続できない | なし |
こうしてみると、楽天ですらマシに見えてきます。
海外赴任候補が開設すべき証券会社は、松井証券か野村證券のみ
- 赴任後も継続してNISA口座保有可能
- 投信もそのままNISA口座内で保有可能
これらを満たす有力な証券会社は、現在のところ、松井証券、野村證券、みずほ銀行しかありません。これらの証券会社は、海外赴任後も「非課税口座継続適用届出書」を赴任前に提出することで、最長5年間、海外赴任しながらNISA口座とその投資信託資産を継続保有できます。私はこの中で、私は松井証券か野村證券が有力候補だと考えています。
証券会社 | メリット | デメリット |
---|---|---|
松井証券 | – 安い信託報酬・手数料- 豊富な銘柄ラインナップ- 投信保有残高に応じたポイント還元 | – 赴任にかかる手続きが煩雑な可能性あり |
野村證券 | – 鉄板銘柄の取り扱いあり- 赴任にかかる手続きの手厚いサポート | – 銘柄ラインナップ少ない- ポイント還元等一切なし |
みずほ銀行 | – 鉄板銘柄の取り扱いあり | – 赴任にかかる手続きが煩雑な可能性あり |
松井証券は豊富なNISA銘柄ラインナップ、安い手数料、ポイント還元があり、3社の中ではかなり魅力的な部類。赴任にかかる手続きが未知数ですが、最も有力だと感じています。
野村證券は業界1位、抱える顧客層も海外赴任者が多いことから、手厚いサポートが期待できます。私は野村證券にも口座を持っており、今回NISA関連の問い合わせを何度もしましたが、サポート品質はピカイチで文句ないです。電話もすぐ繋がります。
継続保有中は売買不可、保有期間は最長5年間
松井証券か野村證券を選べば、NISA口座とその保有銘柄は維持できることがわかりました。しかし、注意点もあります。
- 海外赴任で継続保有できる期間は5年間。5年を過ぎると、任意のタイミングで一般口座に払い出される
- 海外赴任中は売買できない
海外赴任が5年を過ぎれば問答無用で一般口座に払い出されるか売却されてしまうので、注意しようがないですが注意が必要です。
私の場合
完全に初動を誤り、ろくに調べもせず勢い勇んでSBI証券を開設、プラチナプリファードを申し込みしてしまいました。もうどうすることもできない(気力もない)ので、一旦評価額240万円まではSBI証券で積立。これで2年くらいは判断を先送りできると考えています。この間に赴任の動きがあればその瞬間にSBI証券NISA口座を解約。松井証券に乗り換え、積立継続するとともに同じポートフォリオで240万円一括購入。赴任の段階で継続適用届を提出し、松井証券で塩漬け。また、そうこうしてい間にSBI証券が改心して、制度対応してくれたらハッピー。だいぶ面倒ですが、ひとまずこんな感じで運用しようと思います。
所感
私など海外赴任者の端くれですから当てはまらないのですが、一般に企業から派遣され海外赴任する社員は、日本に多額のロイヤリティをもたらし、日本の対外的プレゼンスを高め、さらには現地の雇用、日本の知的労働市場を創造する存在であるはずです。日本国内給与も毎月発生しているため、日本に納税もしています(住民税は払っていないですが。)
そんな海外赴任者が、なぜNISAすらまともに活用できないのか。持たざるリスクが年々見えてきているのに、なぜ権利を奪うのか。
海外赴任者は日本国籍を捨てるわけではありません。いずれ日本に戻って、日本に永住するから海外赴任を選択しています。そうでなけば海外移住しますから、それが個人の選択と言われればそれまでなのですが、「日本国内居住者向け」というNISAの建付けがやはり腑に落ちないと感じる次第です。
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